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_1 あは、とサテンドレスの子どもたちは笑っていた。 顔をほのかに赤く頬を染め、無邪気に草原を走り回る。 時に勢いつけすぎてつんのめってしまうけれど、一方の少女がそれを助け起こす。 黒と青がぐるぐる回ってる。広大な草原の下、その全てが子どもたちの遊び場だった。 ねえ待ってよ、と彼女らをユウキは追いかける。 一回り大きな彼女もまた、子どもたちと同じように無邪気な笑みを浮かべ、楽しそうにその背を追いかける。 きゃっきゃっ、と子どもたちは声を上げた。逃げているのだ。 蝙蝠の翅を持つ流麗な剣士は今『鬼』だった。鬼ごっこ。蝙蝠の少女がドレス纏う子どもらを追い回す。 ただの遊びもこの世界ではこれほど幻想的になる。 空は澄んでいた。 時分はそろそろ正午になろうかというところ。 頭上にはさんさんと輝く陽が上がり、雲一つない空はともすれば吸い込まれそうな青色を湛えている。 ああ気持ちがいい。 気持ちのいい空だ。ユウキは子供たちと遊びながら心の底からそう思った。 このゲームが開始してからもう結構な時間が経つ。 変な侍の大層な前口上があったけれど、結局自分はそれを全部無視して、この会場を楽しむことにした。 悪趣味で関わりたくもない催しだけども、この世界の美しさは本物だ。それを楽しまないなんて損してる。 だからユウキは端からデスゲームなんて無視して、綺麗な世界に触れることにした。 たかがゲーム。どれだけ精巧に作られていても偽物まがい物なんて言ってしまう人もいるけど、やはりそれは違うと思う。 だって今――自分が見ている現実はとても美しい。美しく感じられる。 空の青さを仰げば気分が良い。 草原の風をその身で受け、風が湿った土の臭いが運ばれてくる。 走り回り肌で直に世界に感じ入る。 こうして見て、聞いて、嗅いで、触って、食べて、それが美しいんだ。 なら――それが答えじゃないか! そう思いより力強く地面を蹴った。 土が舞いあがりユウキは駆け出した。身体がずうん、と躍り出る感じ。 あはっと声が出た。速い速い。風を切る感覚がとても気持ちがいい。 走り出した鬼に気付いたのかありすたちも駆け出す。小さな体躯がちょこちょこ、と逃げ出す様が愛らしくてユウキは「よおし」と声を上げた。 今の自分は鬼だ。ありすたちを捕まえよう。 走りながら、ユウキは傍で微笑む女性と目が合った。 彼女は草原に腰を落ち着け柔和な顔で鬼ごっこを眺めている。目が合うと、彼女は笑ってくれた。ユウキも釣られて笑っていた。 カオル。このゲームで会った、どこか親近感の湧く女性。 つらいこともあったけれど、ありすたちとの出会いに彼女もまた安らぎを得ているようだ。 よかった、と思う。束の間かもしれないけど、こんな時間があったっていいじゃない。 そおれ、とユウキはありすたちと駆けまわる。 少女たちは本当に楽しそうだった。 楽しそうに楽しそうに笑ってる。 この時間が偽物だなんて誰も思っていない。誰にとってもここは大切で掛け替えのない時間なのだ。 ねえ神様。もしいるなら一つくらい話を聞いてくれてもよね。 子どもたちに遊ぶ時間を。 何時までとは言わないけど、できるだけ長いことこの時間が続いてください。 ――なんてね。 ふわっと広がる空の下、ユウキは今一度駆けあがった。 ジャンプして彼女の下へといく。きゃっと小さな声があった。陶器のように白い肌に手がかかる。 青い少女にユウキはニンマリと笑って言った。 「捕まえた」 _2 「ふぅ、楽しかった。またこんなことができるなんてなぁ」 「ありがとう、お姉ちゃん。あたしもとっても楽しかったよ、ねえあたし」 「うん! やっぱり思った通り。お姉ちゃんはあたしたちと同じみたい!」 草原で駆け回ったのち、ユウキは二人の少女たちと笑いあった。 こちらを見上げるつぶらな瞳が可愛らしい。人形のような少女たちをユウキは抱きしめたくなった。 「ユウキさん」 そうしていると不意に呼びかけられた。 ちら、と視線を向けるとそこには一人たたずむカオルの姿がある。 その指の動きからユウキは彼女がウィンドウを操作していることが分かった。 ちょっと待っててね、とユウキはありすらに言い、カオルの下へと近づいていった。 勿論笑みは崩さないで。 「そろそろ?」 ユウキは声のトーンを落としながら――ありすらに聞こえないようにそう尋ねた。 カオルは首を振る。ユウキはそっと彼女の手を取った。 当初はデフォルメされたその身体に違和感がなくもなかったのだが、今ではもう慣れた。 VR空間でこういった奇抜なアバターはそう珍しくもない。 ユウキはカオルを視線を合わせる。 そして言う。大丈夫、と。 ぴぴ、と無機質な電子音がした。 時刻は12 00ぴったり。 一秒たりともずれはなく、正確にその音は響いたのだった。 何の音なのかは既に知っている。丁度六時間前、彼女らは共にこの音を聞いたのだ。 「……いません」 息を吐くようにカオルが言った。 曖昧な言葉だったが、ユウキはその意味がすぐに分かった。 いません。何がか。脱落者のリストのことだ。 カオルは張りつめていた緊張が解けたのだろう。ウインドウを前に安堵に胸をなでおろしているのが分かった。 今度は知り合いの名前がなかった。勿論他の人間が死んで良かったなどとは思えないが、それでも知人の死がなく安心してしまうのも致し方ないだろう。 (10人かぁ……同じくらいのペースなのかな) ユウキは表示されたメールを見ていた。 カオルの知り合いがいなかったように、ユウキの知った名もリストにはなかった。 この場にいることが確認されているサチやユイの名もなかった。 とはいえサチの状態は危険だという。早めに探さなくてはならない。 脱落者リストから目を離し、ユウキはメールに記載された別の情報へと目を滑らせる。 ユウキは生前からして――という表現が適当だろう――死というものに慣れていた。 それ故、事実を冷静に受け止めることができていた。 (イベントは……森の方が問題かな) 今回新たに追加されたイベントのうち、自分たちに直接関係してきそうなのは二つ。野球場と森のものだ。 野球場の方はこちらからアクションを起こさなければ問題ないだろうが、森の方は少し困る。 ユウキは後ろを振り返った。広大な草原の先に深く生い茂る森がある。 先ほど別れたブルースとピンクがあのエリアにまだいる筈だ。もしかするとキリトと慎二も危ない。 『痛みの森』のような直接的なものでないにせよ、ダンジョン構造のループは合流に問題が出そうだった。 できるだけ早めに動いた方がいいかもしれない。 そう思いつつ、ユウキはありすたちへと視線をやった。 ウインドウ越しに彼女たちの姿が見える。彼女たちは今しがた送られてきたメールなどお構いなしに走り回り、笑い合っている。 「……やっぱり」 カオルがぼそりと呟くのが分かった。 ユウキと同じことを思っていたらしい彼女は、遠目にその姿を見つめながら、 「分かっていないんですかね? あの子たち、この状況が」 ……その可能性はユウキも考えていた。 少しだけでも触れ合ってみて分かったが、彼女たちは無邪気だ。 無邪気過ぎる。 子どものアバターを使って幼い子どもふりをしている――ということはないだろう。 長年VR空間で人と付き合ってきたユウキは半ば確信していた。 彼女らは子どもだと。 だからこそ、このゲームの実態を掴んでいないのではないか。 そんな気もしたのだ。 こんな悪趣味なデスゲームのことや、悪意に満ちたプレイヤーと幸運にも遭遇していないからこそ、ああまで無邪気に入れられるのではないか。 そう、思いはした。 要するに――あの子どもたちは現実を知らないのではないか。 「かもしれない。ボクも最初はそう思った。でも……」 「でも?」 「ちょっと、違うかもしれない」 ユウキは言葉を選びながら、 「さっき遊んでみて分かったけど、何も知らないっていう感じでもない気がするんだ。 何ていうか……無邪気だけどちゃんと門限があることは知っている、みたいな? 知ったうえで色々好き勝手やってる、んじゃないかな。特の紫の娘の方はそんな気がする」 一見して瓜二つの彼女らだが、触れ合ってみて分かった。 その言動に僅かながら違いがある。どことなく危うい感じのする青い娘を、意外としっかりした紫の娘が助けている。そんな感じがした。 それもまあ――当然だろう。双子だからって同じメンタルを持つ訳じゃない。 現実と同じだ。 「それに何も知らないにしてももう12時間だよ? 怖がっていてもおかしくない。でも、あの子たちは違うよね。本当に楽しんでるみたいだった」 「それは……」 そういうことを考えていくと、単に現実を知らない子どもたち、という訳でもないことが分かってくる。 そもそもまるで二人で一人のような存在というのも奇妙だ。プレイヤーはランダムに配置される。 たまたま近くに配置された――というのは少し無理がある気がする。 「でも、あの娘たち隠し事をしているようには見えなかったです」 「うん、それはボクもそう思うよ」 ユウキはふっと笑みを浮かべて言った。 そういうことは一緒になって遊べば分かるものだ ただユウキは同時に感じてもいた。 直感的に、触れ合ったことで、ありすたちにどこか懐かしいものを感じていた。 別に彼女らに似た子どもたちと親交があったとか、そういうことではない。 そういうことではなく、彼女が生前に関わった人たち――スリーピング・ナイツのことを思い出したのだ。 現実を――死を見ていない訳じゃない。 寧ろ深く知っていて、もう逃れられないと知っているからこそ、無邪気になって遊べる。 ありすたちを見ていると、どういう訳だろうか、そんな在り方が思い起こされるのだ。 ユウキは気付いていた。 自分がカオルと同様に、子どもたちに対して不思議な親近感を覚えていることに。 それが何を意味しているかまでは――分からない。 「とりあえず声かけよっか。一緒に行こうって」 ユウキは穏やかな口調で言った。 どことなく不思議な雰囲気のある子どもたち。一緒に連れて行くことに迷いはなかった。 こんなところで出会った以上保護するべきだし、不思議な点も道中で仲良くなれば分かるだろうという気がした。 それはカオルも同じだったのだろう。こくんと首を振った。 ちら、とウインドウに映る時刻を確認する。早めにキリトたちと合流したいところだ。 ありすたちは変らず草原で遊んでいる。 走りまわり少し離れたところまで行ってしまった彼女らに、ユウキは少し声を張った。 「ねえー君たち!」 するとありすたちがぴたりと足を止め、こちらを見た。 示し合わせたように手を取り合って「なあに」と二人は首をかしげている。 可愛いなあと思いつつも近づこうとした、その時、 ユウキは見た。 ありすたちを向こう側、青い青い空に―― ――降りかかる弾丸。 息を?む。 考えるよりも速く地面を蹴って、そのまま空へと飛びだした。 蝙蝠のような翼があっという間に展開され、ユウキは空を駆け抜ける。 浮遊感とは真逆の鋭い加速が身に掛かった。 駆け抜けるように剣を抜く。 弾丸の中心を見据える。 一瞬の好機を見定め、そして止まることなく斬った。 声もなく、音もなく。 守るために、ユウキは弾丸を受流/パリィした。 「ちょっと」 僅かに声に険を含ませながら、ユウキは顔を上げた。 「いきなり子どもを狙うなんて、ちょっと問題があるんじゃ――」 だが次の瞬間、ユウキは声を失った。 ぴたり、と動きが止まる。喉元まで出てきていた言葉は消え失せ、呼吸さえも忘れた。 彼女には空が静止した気さえした。 聞こえたのは、きゃっ、きゃっ、というありすたちの無邪気な声だけだった。 「――――」 「――――」 言葉を喪う。 それはユウキだけのことではないみたいだった。 襲撃してきた相手もまた、同じことだった。 ユウキよりもより高い位置まで飛び上がっていた彼女は、あるいはユウキ以上の衝撃を受けていたのかもしれない。 比喩でもなく、オバケでも見た顔を浮かべている。 ――アスナ 零れ出た名前は、果たして声になったのだろうか。 そうして彼女らは最後の言葉通り、どこか違う世界のどこか違う場所で巡り合ったのだった。 それは決して夢でなく紛れもない現実であった。 生きていても死んでいても現実だけは変らない。 _3 青い空を背景にして、ユウキとアスナは対峙していた。 自然と目線は合っていた。ユウキが飛んだのか、アスナが落ちたのか、どちらかは分からないが、気付けば彼女らは同じ高さになっていた。 ただ、距離はまだ縮まっていない。 手を取るには数歩近づかなければならないだろう。そしてまた――剣も届かない。 何故だろう。この距離に、ぬめりとした感じが、とても厭な感じがしたのは。 「久しぶり――」 ユウキはその感覚を振り払い、快活な口調で語りかけた。 アスナの姿を見据え、言う。 アスナは当惑と厚情をないまぜしたような、ぎこちない無表情を浮かべている。 「――でいいのかな? ボクの感じだとそんなに経ってないっていうか、まあ、変な感じなんだけど」 言いながらユウキは少し笑ってしまった。 時間が経つというのもおかしな表現なのだ。 何せ自分は死んだ。 死んだ人間に時は流れない。 自分にとって最期の時間はアスナに看取られた、あの温かい瞬間だ。 あれからどれくらいの時間が――アスナには流れたのだろう。 ユウキにはそれを知る術がない。 過去と途切れてしまった自分にあるのは、目の前の現実だけなのだから。 「三か月……くらいかな」 アスナがぼそりと口を開いた。 どこか伏し目がちに、彼女はそう言ったのだ。 三か月。 そう三か月か。 ユウキはその言葉を不思議な気持ちで受け止める。 何というか――奇妙な感じだ。自分が死んでどれくらい経っているのかを教えてもらうのは。 自分の最期の時が三月な訳だから――そうかじゃあ『外』は今六月なのか。 そんなどうでもいいことを思った。 「じゃあ久々ってほどもないのかな? 微妙な感じだね。 ま、ボクはこの通り元気だよ。なんか変な話だけど」 ユウキはそう言ってくるりと回る。空の中を楽しげに。 自分の身体を振り返って、やはり自分は元気だ、と思った。 少なくともこの意識と、このアバターは何もおかしなところがない。 「……私は」 笑みを浮かべるユウキに対し、アスナはやはりどこかぎこちない。 彼女は翅を拡げながら、両手でぎゅっと大剣を握りしめた。まるでよりかかるように。 「私は、久しぶりでいいと思うよ。 よく分からないけど……あなたに会うのが随分と久しぶりの気がする」 その声色は揺れていた。 彼女が抱いた複雑な感情が滲んでいるようだった。 待ち焦がれていた友との再会だが、もろ手を上げての喜ぶ、という展開にはならなさそうだった。 ……仕方ない、とユウキは冷静に思う。 死んだ筈の人間とネットゲームで出会ったらそりゃ誰だって驚く。 ログインしていない筈のIDが勝手に使われることを『オバケが出た』なんて表現するが、自分はまさしく『オバケ』なのだ。 自分はまだいい。死んだ当人なのだから――そりゃまあこうして元気に飛びまわれることに驚きはしたが――何だかんだ普通にやっていけている。 やらざるをえない、とでもいうか。 ただアスナにしてみれば、複雑だろう。 最期の瞬間にまた会うと誓ったとしても、いやあれほど鮮烈な別れをしたからこそ、戸惑う。 何となくで看過することはできないだろう。 それに何よりここはデスゲームの場所だ。 アスナがかつて体験したアインクラッド――ソードアート・オンラインのような。 ユウキはその時代のアスナをよく知らない。だがそこでの死がどういうものであったかは分かる。 キリトの顔がフラッシュバックする。森で出会った彼が普段から考えられないほど取り乱していたのも、ひとえに死の重さゆえだ。 そこまで考えて、ユウキは気付く。 今の自分の状況は、同じだと。 キリトから見たサチと同じように、 アスナから見た自分は映るのだろう。 ユウキはふう、と息を吐いた。 少し緊張を解きほぐしたかった。 下を伺う。カオルが心配そうに自分たちを見上げている。ありすたちは……特に変わらない。 「ねえ、アスナ」 何から問いかけるべきだろうか。 幾つか候補が浮かんだが、ユウキは思考を振り払う。 考える必要はない。何せ相手は親友だ。 聞きたいことを直球に聞けばいい。 「それ、なに?」 だからこそユウキはまずそれについて聞いた。 話したいことは多くあった。積もる話は山ほどある。先程の行いも無視できない。 でも、まず聞かなければならないことがある。 ユウキはアスナのアバターを示し尋ねた。 今のアスナは見慣れた青い妖精――ALOにおけるウンディーネのアバターだ 空の色をした艶やかな長髪に、澄んだ青い瞳、蒼白色で固めた装備――は知っている。 「正規のものじゃないよね、それ。バグ? もしかして榊って奴になにかされた?」 しかし問題は……そのアバターを浸食する黒い何かだった。 ポリゴン覆う黒い何かは時節明滅し、ALOはおろかあらゆるザ・シード規格のゲームでも見たことのないような奇怪な点が蠢いている。 半身は黒く歪み、装備も輪郭を失っている。 何より、そのアスナの顔の部分にまで、黒い何かは伝ってきていた。 首から頬にかけて黒い線がアスナのアバターを浸食し、汚染している。 ――ユウキはその《黒いバグ》を既に二回見たことがある。 一度目は洞窟で遭遇したプレイヤーキラー。明らかに常軌を逸した外見をしており、また戦闘では仕様を外れたと思しき力を使っていたいた。 二度目は他でもないサチだ。キリトが追い、そして逃がしてしまった少女。彼女もまた平静さを欠いていた。そしてそれが悲劇を生んだ。 彼女らは共にあの《黒いバグ》に浸食されていた。 そしてアスナもまた、その《黒いバグ》に巣食われている。 その事実が、この居心地の悪い距離感を生んでいるのかもしれない。 「ええとさ、アスナ」 ユウキは眼下に居るカオルを一瞥したのち、 「そのバグ。もしかしたら取り除けるかもしれないんだ。情報を解析できるプレイヤーの人がいてさ、今ボクと一緒にいるんだ。 それに他にもそのバグに感染したらしい人がいて、もしかしたらアスナも知って――」 「――いいえ」 ユウキの言葉を遮り、アスナはきっぱりと言った。 「え」と思わず戸惑いの声が漏れた。ぽかんとした顔を浮かべてしまったかもしれない。 アスナは剣を握りしめながら言う。 「これ、別に取り除かなくてもいいと思う。実際結構気持ち悪いけどね、でもこんな状況でアバターの見た目とか考える訳にもいかないでしょ? 色んなゲームを同時に動かしてるせいで生じた不具合とかじゃないかな?」 口調自体は穏やかなものだった。しかしどこか違和感があった。 「でもさ、ちょっとそれおかしくない?」 「おかしいのは分かってる。でも変に弄った方が危険じゃない? 場合によってはペナルティとか課せられちゃうかもしれない」 確かにそうだった。 サチを救う手だてとしてカオルの力を使うと考えていたとはいえ、それがゲームの――GMが定めたルールに抵触している可能性はあった。 しかしだからといって除去しなくていい。そういうものなのだろうか。 「わたしなら大丈夫。色々あったけど、元気にやっているわ」 そう言ってアスナは微笑んだ。 見覚えのある朗らかで綺麗な笑み――に走るバグが醜く歪んだ。 ユウキは思わず声を失う。違和感はある。しかしどう言えばいいのか、咄嗟には出なかった。 あの女剣士やサチと違って、アスナが理性的なのは分かった。 普通に喋ることはできるし、自分が幽霊なのもあってか距離感はあるけれども、特に問題なく接することができる。 そうであるのならば《黒いバグ》を無理に取り除く必要もないのだが―― 「じゃあさ、何であの子たちを攻撃したの?」 ――なら、それだけは聞いておかなくてはならなかった。 「あの子たち……ありすっていうらしいんだけどさ、さっきボクたちと会ったんだ。 で、遊んでたんだけど、別に悪い子じゃなかったよ」 できるだけ落ち着いて、咎めるような口調にならないように語りかける。 ユウキはアスナを知っている。何か事情があるに違いないのだ。 それだけは聞いておかなくてはならない。 そう思ってのことだった。 「……っ!」 爆音が響くのと、ユウキが動くのは同時だった。 アスナが抜いたのだ。剣を振り上げ弾丸を放った――標的はありす。 ユウキはその反応速度を持ってしてアスナの剣を弾いた。結果、弾丸は逸れ、あらぬところに着弾した。 「……アスナ」 下で、ありすたちが爆発を面白がっているのが分かった。 「何を――何をしたのか分かってるの……!」 ユウキは声を上げた。 剣を交わしながら、瞳をじっと見据えて吐くように言う。 「分かってないのは貴方よ!」 しかしアスナもまた声を荒げた。 大剣、否銃剣を薙ぎユウキを振り払う。ぶうんと音がした。そしてまた距離ができる。滲み出る黒い点が陽の光を遮った。 ユウキを見下ろすような形になったアスナは、高い声で言った。 「あの子たちは危険よ、人を無邪気に殺すレッドプレイヤーだわ。 トリニティさんを殺しておいて、あんな顔できるなんて……!」 「人を殺した?」 「そうよ。あの子たちは、トリニティさんを……!」 その鬼気迫る様子に相対して、ユウキは逆に冷静になった。 ありすたちがプレイヤーを――アスナがいうにはトリニティという人を殺したらしい。 事実なら確かにありすたちは危険な存在だ。 だがアスナの様子も明らかにおかしくなった。 それまでは知った通りの彼女だったのが、突然好戦的な言動になり、挙句の果てに無警告の発砲だ。 それを見てユウキは確信した。 やはりアスナもあの《黒いバグ》の影響を受けている、と。 「落ち着いて、アスナ。話して、ボクにもさ」 そう分かったユウキは、あまり刺激しないよう注意しながら話しかけた。 キリトとサチの悲劇は――思えばこれにも《黒いバグ》が絡んでくるのか――記憶に新しい。 一度は緩みかけた緊張が高まっていく。ユウキは心苦しいものを感じていた。 「……分かったわ」 そうしてアスナがゆっくりと口を開いた。 このゲームで彼女がこれまでアメリカエリアで経験したことを。 トリニティという仲間と出会い、そしてありすと奇妙な猫のキャラに遭遇した。 そしてトリニティは死に、猫との戦い、ありすとの鬼ごっこ…… 「なるほどね」 一通り聞き届けたユウキはそう言って頷いてみせた。 なるほど、確かにアスナがありすらを危険視するのも分からないでもない。 その言葉が正しければありすは無差別に人を襲う危険なPKだ。 「分かったでしょ? あの子たちは危険よ。 人を襲っておいて、それでいてあんな風に笑ってる。 現実を見ていないのよ。それで人を殺してる。許される訳ないわ」 アスナの糾弾するような言葉をユウキは表情を変えず受け止めていく。 そして考える。アスナの言葉はどこまで本当かを。 きっと嘘は言っていないんだろう。 ユウキはアスナを知っている。こんな状況でも人を陥れるようなことをする人間ではない。 だが――だからといって全てが真実とは限らない。 今のアスナは明らかにおかしいところがある。あの《黒いバグ》が関わっているに違いない。 先ほどの話だって、アスナの話には明らかに断絶があった。 猫のキャラとの戦いの記憶がないと彼女は言っていた。それはもしや意識を乗っ取られていたのではないか。 キルカウントが付いていない以上、アスナが手を下したということをないのだろうが――それでも異常だ。 何よりそれをさして異常と認識していないこと、それがおかしい。 「ねえ、アスナ」 ゆっくりとユウキは語りかけた。 落ち着いたのかアスナは「何?」と普段通り温厚な返事をする。 しかしその二面性が、逆に彼女の危うさを際立たせているように思えた。 「アスナの話も分かったよ。でも、ボクにはそれが全てじゃないと思う。 あの子と遊んでみて分かったけど、あの子たちは本当に子どもなんだ。 少なくともボクには襲ってこなかったし、何か事情があるかもしれない」 「……っ」 アスナが息を呑むのが分かった。 目が見開かれ、首筋からグロテスクな黒点が立ち上っていく。 「何を言ってるの? ユウキ。 子どもなら何をやってもいいっていうの? それにここはネットよ。もしかしたら本当の姿は……!」 「勿論違うよ。子どもだって悪いことは悪い。 でもあの子たちは本当に子どもなんだ。ボクには分かる。長いことこの世界にいたからね。 遊んで分かったよ。あの子たちにとってはあれが本当の姿なんだ。 嘘偽りのない、本当の姿なんだ」 ユウキはアスナを見据えて言う。黒い斑点からも目を逸らさない。 本当の姿。ネットの『外』と『中』では、確かに姿カタチは違うかもしれない。 現にユウキがそうだ。『外』の自分は――紺野木綿季はもはや身動きもとれなかった。 しかしだからといって『中』の自分――絶剣・ユウキが本当の姿でない筈がない。 現実とは、今目の前にあるものだ。そこに生きる人間こそが現実を作る。 だからリアルの姿を見ていないとか、そんなのは関係がない。 ユウキには分かる。ありすたちは何ら自分を偽っていない、と。 「本当の姿だから、ここが現実だから許せないんじゃない……!」 「現実だから許してあげることもできるし、救ってあげることもできると思うんだ。 ボクがアスナにそうされたように、生きることの答えを教えてあげることだってできるかもしれない。 だから落ち着いて、アスナ。やっぱりちょっと変だよ。疲れてるんだと思う」 「貴方は……!」 アスナは顔を歪めた。肩を震わせ、点が黒く蠢く。 怒りとも驚きともつかない感情がそこには見て取れた。 そして、言われた。 「けど! 生きることができなかった人だって……いるんだよ! 理不尽に殺されて、何もできないまま死んだ人だって。 トリニティさんにだって好きな人がいたのに! ここは楽しいゲームの中じゃないの……あのアインクラッドと一緒の世界なんだよ! ――貴方はあそこを知らないから、もう死んでるから、遊んでいられるかもしれないけど!」 「…………」 しばらく沈黙が訪れた。 ユウキは何も言わない。アスナもまた、どこか申し訳なさそうに目を伏せた。 空の上には静寂がやってきた。 その中にあってユウキのアスナは、近いのに手を取ることができない、向き合っている訳でも同じ目線という訳でもない、そんな妙な位置関係になってしまっていた。 風が冷たかった。 空にまで上ると、下では心地の良いそれも痛くなってくる。 飛び続けることができれば、気にならないのに。 「ねえ、アスナ」 不意にユウキは口を開いた。 静寂を破るべく、意を決して、 「ごめん、ボクもちょっと戸惑ってたかも。 こんな場所だし、生き返ってるしで、ちょっとね」 そう微笑みかけると、アスナはびくりと肩を震わせた。 「だからさ、アスナ」 ユウキは快活に笑うとウインドウからあるアイテムを取り出し、放り投げた。 突然のことにアスナは戸惑いつつも、そのアイテムをキャッチする。 そのアイテムを受け取ったアスナは目を見開き、 「黄泉返りの……ってこれ蘇生アイテムじゃない!」 「そう。まぁHPが切れてから5秒以内じゃないと使えないんだけどね。 あ、勿論ボクがこれ使って天国から復活したとかじゃないよ」 笑いながらユウキは言った。 そしておもむろに飛び上がる。アスナと同じ目線で、少し離れた位置に。 知っている間合いだった。剣が届かない、ギリギリの位置。そこまで来て、剣を抜いた。 レイピアがオブジェクト化され、その刀身が陽光を受けきらめいた。 それを見た瞬間アスナが「そのレイピア……」と言葉を漏らした。 「あれ。知ってるの、アスナ? これボクが支給されたアイテムなんだけど」 「わたしが使ってた装備。アインクラッドでのものよ」 「ふうんそうなんだ」 ユウキは剣を今一度見た。 なるほど、中々面白い縁だ。これがGMのはからいだというなら、その点においては感謝しなくもない。 「でさ、アスナ」 奇妙な縁を感じつつも、ユウキはランベントライトを構えた。 すっと細剣を中段の姿勢に構える。考えることなく自然とこの姿勢を取れた。 足下には広大な草原がある。自分はいま空に立っている。 空を足場に、剣を構える。 「一緒遊ばない?」 「え?」 アスナが呆けた顔をした――瞬間を狙ってユウキは距離を詰めた。 羽を開く。ばっ、と黒い翼が広がり鋭い加速を持ってしてアスナへと迫る。 アスナは驚いていたが――しかしすぐに抜け目なく反応してみせた。 銃剣を掲げ、ユウキの突進をかわす。その際同時に斜め下へ滑るように回避をしている。 剣術への対応と空中機動のそうその両立――流石だと舌を巻きつつユウキはロール。 態勢を整えつつ軌道を取る。シャンデル。 「い、いきなりどうしたの、ユウキ?」 「だからさ、遊ぼうよ」 ユウキはアスナの周りを旋回しながら笑って言う。 「どうにも何か緊張しちゃってさ。ボクもほら、化けて出るの慣れてないからちょっと緊張解きほぐしたかったんだ」 「緊張って、そんな」 「ルールはありあり……このゲーム中得たものなら何でも使用可で。 それで前に戦った時は地上戦だったから今度は空中戦にしよう。 ただあんまり下には撃たないでね? ボクの知り合いがいるから。 どっちかが黄泉返りの薬を使ったら敗け――っていうのはどう?」 まくし立てるように言うユウキにアスナは困惑の色を見せつつも、しかしどこか落ち着きを取り戻していく。 その様子にアスナは安堵を覚える。やはりアスナは――アスナだと。 「賞品は勝った方が相手の言うことを一つ聞くってのはどう? ボクが勝ったらそのバグを除去してもらうよ」 「貴方は……もう」 アスナは深く息を吐きつつも剣を構えた。 呆れと苛立ちが半々、といった様子だ。ユウキはそれでも満足げにアスナを見据える。 「分かったわ。でも危ないことは無し。一撃決着っていうことにしましょう。 保険として黄泉返りの薬があるって感じで。仕方ないから付き合ってあげる」 「オッケー、分かったよ、アスナ。 じゃあ――」 行くよ。 ユウキがそう口にした瞬間、二人は共に空を駆けた。 遊びとして、純粋なる剣技を競うべく、少女たちの空中戦闘機動/エアリアル・コンバット・マヌーバが幕を上げた。 Next EXS.extream crossing sky“フラッタ・リンツ・ライフ”
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「はっ…あっ…」 寝床の方から、小さな喘ぎ声が聞こえる。 足音を忍ばせて近付くと、ワタルの寝袋が揺れていた。 身体の疼きを抑え切らなかったのだろう。 まだ手で行う自慰を知らないワタルは、俯せになって体を前後に動かし、勃起した自身をズボンを穿いたまま寝袋の底に擦り付けている。 ユウキは息を呑んだ。 一度ああいう体験をしたとはいえ、純粋無垢なワタルが淫らな行為に夢中なっている。 女子のそれに近いぎこちない自慰を行っているワタルを見て、なんとも形容しがたい感情が込み上げてきた。 「あっ…!」 一際高い喘ぎ声が上がると、ワタルが入っている寝袋の動きが止まった。 おそらく達したのだろう。 ワタルの荒い息遣いだけが辺りに響いている。 「……ワタル」 「あっ!な、なんだ、ユウキか。驚かさないでよ」 ワタルは空笑いをしながら上半身を起こし、ユウキの方を向いた。 「ワタル、顔赤いけど大丈夫?」 「う、うん。大丈夫だよ」 「ホントに?」 「えっ…?」 ユウキはワタルの寝袋に歩み寄った。 「ユウキ…?」 ワタルが不安そうに見上げてくる。 ユウキは寝袋を掴んだ。 「や、やだ!」 ワタルは寝袋をめくられないように押さえようとしたが、それよりも先にユウキが寝袋をめくった。 「やっ…だ…」 目を潤ませ、後ずさる。 ワタルのズボンの股間の辺りが濡れて、その部分だけ色が濃くなっている。 「や…見ない、で…」 泣きじゃくりながら、股間を両手で隠す。 「…ワタル」 ユウキはワタルをそっと抱きしめた。 「大丈夫。大丈夫だよ」 ぽんぽんと、背中を優しく叩く。 「ユウ…キ…」 「ワタル、どうしたんだ?」 「……ボクの体、ヘン…なんだ…」 「どこが?」 「こ、ここ…」 ワタルは顔を真っ赤にして、怖ず怖ずと自分の股間を指差した。 「ホントだ、なんか濡れてるね」 ユウキは心の中でほくそ笑んだ。 「あっ!」 ユウキはおもむろにワタルの股間を触った。 ワタル自身をズボンの上から優しく握る。 ズボンの染みを擦るように触ると、滲んだ液体が手についた。 匂いを嗅ぐと、青臭い独特の匂いが鼻腔をくすぐった。 指に舌を絡ませ、その液体を舐めると、口内に苦い味が広がった。 「ワタル、ちょっと見せてくれる?」 「?」 ワタルがキョトンとしていると、ユウキはズボンを脱がせ始めた。 「ユ、ユウキ!?」 下着ごとズボンを下げると、むわっとした蒸気と共に独特の匂いが広がった。 露になったワタルの秘所は、汗と白濁の液体で濡れている。 次のページへ
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とある定食屋にて 帝都から仕事に出かける前、ユウキは腹ごしらえの為下町の定食屋に入った。 ちょうど昼食時の店内は大にぎわいで、2人分空いていたカウンター席を見つけてそこに体を滑り込ませる。 「いらっしゃい!」 「えっと、オムライスセット」 「あいよっ!」 景気のいい店主の返事に、ユウキは自然笑顔になる。 アレクセイの命令でこれから地方に行くのだが、正直気が重い。それに城に残してきたフレンの事も気になっていた。 「あいよ、お待ち……あっ!」 出来立てのオムライスが目の前に置かれるのと同時に、店内に長い黒髪の青年が入ってきた。 店主が声を上げ、他の客達も青年の登場に気づく。 「ユーリ、ちょうど良かった!」 手招きをする店主の声に続き、座っている客達が次々に話し掛ける。 「おお、ユーリ。この間は助かったよ」 「後でパン届けるからな!」 「お前のおかげでかあちゃんにどやされずに済んだよ、ありがとな!」 誰もが口々に感謝を述べている。随分と信頼されているようだ。 客達の言葉に軽く返事をしながら、青年は一つだけ開いていたユウキの隣りに腰掛けた。 「おっちゃん、いつものやつ」 「おうよ! それでユーリ、ちょいと頼みがあるんだが……」 「あ~、後で聞くから取りあえず何か食わせてくれ。腹減って死にそうなんだよ」 カウンターに肩肘を付いて項垂れる青年ユーリに、ユウキは笑いながらまだ手をつけていなかったオムライスを寄越した。 「どうぞ、ユーリ。今出されたばっかりだから、出来立てよ」 ユウキの突然の申し出に、ユーリは驚いた顔をした。 「でもそれはあんたのメシ……って、あんた、どっかで会った事ないか?」 不思議そうにまじまじと見つめて来るユーリに、ユウキは吹き出す。 私服でいた為騎士だとは気づかれていない。 「ふふっ。その言葉はナンパしているみたいだから、気を付けた方がいいよ。初めまして、ユーリ。私はユウキ」 そう言って手を差し出すと、ユーリはその手を握り返しながら顔を近づけてさらにじっとユウキを見つめる。 「初めまして……本当に? なーんか見た事あるような気がすんだよな」 首を傾げるユーリに、主人が手早くチャーハンを炒めながら言った。 「あんたら2人、顔と髪型が似てるよ!」 「……あ!」 そこでユーリは自分に似ているのだと気づいた。 「はははっ! オレに似てるのか! ユウキ? だっけ? 名前まで似てるんだな! オレはユーリ・ローウェル。そこの宿屋に間借りして住んでんだ。あんた、ここは初めてなのか?」 「そうね、この定食屋は初めて来るわ」 「帝都に住んでんの?」 「ええ。仕事であちこち行ったり来たりだけどね」 「そっか」 「はい、お待ち!」 会話の途中で出されたチャーハンを見て、ユーリはオムライスをユウキの方へ戻すと豪快にチャーハンをかき込み始めた。 その様子を見てユウキもオムライスを食べる。 「いや、しっかし本当、良く似てるなあ」 2人並んで食事をする姿に、店主も面白そうに他の注文を作りながら言う。 「ーーーあれ? そう言えば、なんであんたオレの名前知ってんだ?」 ふと手を止めてユーリが尋ねる。 「あなたがお店に入ってきた時マスターが“ユーリ”って言っていたし、他のお客さんもそう呼んでいたから」 「ああ、なるほどな」 ユーリの事はフレンから色々と聞いていたが、こうして実際に会うとフレンが大切に思うのも分かる。 フレンと同じで、誰かを助ける為に自分の進むべき道を探しているのだ。 似ているが、どこか違う。 フレンとユーリは何かしら人を惹き付ける魅力を持っているようだ。 「ん? 何かついてるか?」 じっとユーリを見つめていたユウキに気付き、こちらへ視線を寄越す。 「あ、ごめん。フレンが話していた通りの人だと思って」 「ーーーフレン? あんた、フレンを知ってるのか?」 驚いて手を止めたユーリ。 「ええ」 「それじゃあ、あんたも……騎士、なのか?」 心底驚いたように言うユーリに、ユウキは苦笑する。 「一応ね」 「ーーーそっか」 そこでユーリはふと表情を緩めた。 「あいつ、元気にしてんの?」 「元気よ。すごく頑張ってる」 「そっか、頑張ってんのか……」 フレンがユーリの事を話す時に良く似た顔で呟くユーリに、ユウキは食べ終わったスプーンを置いて微笑んだ。 「よくフレンに、ユーリに似てる。って言われるわ」 「ははっ、そうかもな」 「見た目の事じゃないけどね」 「……あんた、オレに性格も似てるのに騎士なんてよく続けられるな」 目を丸くするユーリ。 それを見てユウキが笑う。 「やらなきゃいけない事があるからね。大人は色々大変なのよ」 「ーーーそっか……」 会話が途切れると、主人が割って入ってきた。 「やらなきゃいけない事ならお前にもあるぞ、ユーリ!」 「なんだよ」 「うちの娘にラブレターを寄越して来る不届き者がいやがるんだ! そいつが誰か、突き止めてくれ!」 「やだよ。いいじゃねーの、おやじに似ずに可愛い娘でさ」 「良くねえよっ!」 ユーリと定食屋の主人のやりとりを聞きながら、ユウキは水を飲み干した。 「ごちそうさま」 隣りで問答を続ける2人の隙間を縫って代金をカウンターに置くと、ユウキは立ち上がった。 それに気づいたユーリが呼び止める。 「あ、待ってくれ」 「なに?」 「フレンのやつに会ったら伝えといてくれないか。ーーーえっと、“オレはまだ見つけてないけど、必ず見つける。お前はお前で頑張れよ”って」 「分かった、必ず伝えるわ。それじゃ」 そしてユウキは店を出た。 と、 「ユウキ!」 ユーリが後を追ってやってきた。 足を止めて笑顔で振り返る。 「どうしたの?」 「やっぱなし」 「なし?」 「さっきの伝言」 「ーーー分かった」 バツが悪そうに笑うユーリに、ユウキは頷く。そしてはたと思い出して口を開いた。 「あ、そうだ。忘れる所だった。ナイレン・フェドロックの事、フレンから聞いたわ。色々とナイレンの為にしてくれたそうね、本当にありがとう……」 「え?」 頭を下げるユウキに驚くユーリ。 「大事な仲間だったの。今度また会えたらゆっくり話しましょう。もう行かなくちゃ」 「あんた……一体何者なんだ?」 「私? 私はフレンの仲間よ」 そう言い残し、ユウキは手を振って下町の路地の奥へと去って行った。 END 2012.04.27 =あとがき= お読み下さりありがとうございました! フレンのお話を読んで頂かないと、「ユウキって誰?」状態なので、これだけ読んでくださった方の為に補足説明をさせていただきます。 ユウキはフレンとユーリが騎士になってすぐに配属された「シドンタリア」という町の騎士団長をしていた「ナイレン・フェドロック」の仲間の女性騎士です。フレンがシドンタリアから別の町に配属されたお話を書かせて頂いたんですけど、その町の隊長が「ユウキ」です。 ユウキが帝都に戻ってきて、アレクセイの命令で世界中を飛び回っている、という設定でこのユーリとの出会い編を書きました。 この後何度か2人は会いますが、多忙を極めているユウキなのでゆっくり話しは出来ません。でも、シドンタリアやフェドロックと一緒の部隊にいた頃の話しはした模様で、ユーリに気に入られます。 いつかゲームと絡めてまたお話を書けたらいいな~。と思っています。 ブラウザを閉じてお戻りくださいv その他二次小説トップに戻る
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絶剣・ユウキ No.4868 レア度 7 レベル 1 最大Lv99 スキル さあ…剣をとって… 進化素材 コスト 35 HP 3413 ターン(最短) 12(7) タイプ 攻撃 攻撃力 2793 Lスキル こんなにも……満たされているんだから…… 主属性 火 回復力 15 進化元 ユウキ 編集 副属性 闇 EXP 400万 4,000,000 進化先 ユウキ(退化) 覚醒 バインド耐性+ / スキルブースト / スキル封印耐性 / 操作時間延長 / 2体攻撃 / 2体攻撃 / 2体攻撃 / 2体攻撃 / スキルボイス
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Ideon(イデオン)是出自《传说巨神伊迪安(伝説巨神イデオン)》的巨大人形兵器、合体机器人、超兵器。 设定 伊迪安剑 伊迪安炮 设定 合体情况:A机器+B机器+C机器 尺寸:合体状态长轴105米,LL 重量:合体状态5650吨 动力:核融合炉(功率120000t/df)、持有自我意志的无限力“伊迪”(功率不明) 移动类型:空·陆·宇,可以飞行。 装甲:イデオナイト(具体性质不明的架空物质) 武器: 格斗——撞击、拳击、脚踢 能量炮(グレンキャノン)——多座 导弹——发射器549座 备弹16000发 可以全方位射击 伊迪安剑(イデオンソード)——发射器16座 伊迪安炮(イデオンガン)——外接炮1座 伊迪护罩 伊迪发动——发动伊迪的真正力量,将作为目标的所有智慧生命打到因果地平的彼方(可观测宇宙的尽头,例如事件视界的内部)而消灭。 设定的开发者:第六文明人(具体情况不明) 驾驶员: A机器——ユウキ・コスモ、アフタ・デク B机器——ジョーダン・ベス→ファトム・モエラ→ギジェ・ザラル→マルス・ベント C机器——イムホフ・カーシャ→アフタ・デク 暴走状态——伊迪 现实中的外观设计:樋口雄一 在登场作品中是主角机。具备压倒的攻防能力和极为微妙的伊迪系统,在结尾(剧集被腰斩)伊迪发动、把人类和敌对文明同时打到因果地平的彼方而消灭,达成了全灭结局。剧场版把伊迪发动前的矛盾冲突更详细地展现,并依然达成了全灭结局。登场作品因而成为黑富野由悠季的代表作。 伊迪安剑 从两手腕各8座的发射口中伸出巨大的能量刃,可以进行穿刺和斩击,可把行星劈成两半。剧中没有东西能抵挡其威力,属于战略兵器。 在SRW里登场时一般是做成双射线·射程无限·攻击力9999的地图炮,在第三次阿尔法中也有通常武器版(攻击力记做9999,内部12000)。 是高达00的巨大能量刃的原典。 伊迪安炮 发射超重力能量涡动的外接炮,炮身具有一定的动力,可以自己飞到伊迪安附近。在与伊迪安连接后发射,一击就能摧毁彗星、行星、小行星群、舰队等各种东西,剧中没有东西能抵挡其威力,属于战略兵器、波动炮。在动画版中称为“波导炮”、“伊迪安波导炮”,在小说版发动篇中将其射出的漩涡称作黑洞风。 在SRW里登场时一般是做成扇形·射程无限·攻击力9999(第三次阿尔法中内部12000)的地图炮,在第三次阿尔法中也有全体攻击版(攻击力记做9999,内部15000)。OG系列将其原理表现为以伊迪之力产生黑洞放出重力漩涡。
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ユウキ No.4867 レア度 6 レベル 1 最大Lv99 スキル さあ…剣をとって… 進化2種 究極進化(1種) コスト 25 HP 2813 ターン(最短) 12(7) 絶剣・ユウキ タイプ 攻撃 攻撃力 2593 Lスキル ボクはこれだけ、だけどねっ アシスト進化(1種) 主属性 火 回復力 15 進化元 なし ユウキのマクアフィテル 編集 副属性 火 EXP 400万 4,000,000 進化先 進化2種 覚醒 バインド耐性+ / スキルブースト / スキル封印耐性 / 操作時間延長 / 2体攻撃 / 2体攻撃 / スキルボイス
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コスモス賞(旧菊花賞) 出走条件 アラブ系4歳(第1回~第25回)アラブ系3歳(第26回~第27回) 記事 『菊花特別』として施行『上山市長賞典』が付く(第1回)『菊花賞』に改称『スポニチ杯』になる(第13回)『コスモス賞』に改称(第22回)『全国公営競馬主催者協議会会長賞』(?~第27回) 回 年月日_ 天候 馬場 頭数 勝馬馬名_____ 性齢 距離 タイム 重量 騎手____ 調教師___ 賞金_ 1 76.10.24 曇 良 8 ダイイチタマトップ 牡4 1500 1.34.7 58.0 松浦正春 佐藤喜治 80.0 2 77.10.9 曇 不良 7 ザオーマリーネ 牝4 1700 1.51.7 54.0 菅原幸志 猪股榮治 3 78.11.3 曇 不良 10 サカエミユキ 牝4 1700 1.53.7 56.0 佐藤庄一郎 五十嵐好 120.0 4 79.11.25 雨 重 10 フロルアワード 牝4 1700 1.51.6 54.0 横井正好 渡辺徹夫 140.0 5 80.10.12 曇 良 10 フジヨシホマレ 牝4 1700 1.51.9 54.0 佐藤庄一郎 太田勝雄 160.0 6 81.11.15 曇 稍重 9 ヤマユホウセイー 牡4 1700 1.52.7 58.0 松浦正春 渡辺徹夫 180.0 7 82.10.10 曇 良 7 タカラッキー 牡4 1700 1.54.4 54.0 水戸賢二 村山博 250.0 8 83.11.23 晴 稍重 9 トビホマレ 牡4 1700 1.50.6 58.0 山田延由 齋藤隆明 250.0 9 84.11.18 晴 稍重 10 エンゼルキング 牡4 1700 1.52.9 56.0 山田延由 高橋謙治 250.0 10 85.10.27 晴 良 10 ジョーヨウディール 牡4 1800 2.02.3 55.0 羽島修 枝松正廣 250.0 11 86.11.12 晴 重 8 ダイオガール 牝4 1800 1.59.4 52.0 川崎勝良 渡辺徹夫 230.0 12 87.11.24 晴 重 10 タイガーセブン 牡4 1800 2.02.4 54.0 白谷正美 大瀧新次 250.0 13 88.11.22 晴 稍重 10 オオウテンリュウ 牝4 1800 2.00.6 53.0 高木正喜 前田幸悦 300.0 14 89.11.26 晴 重 10 ニッシンプリオール 牡4 1800 2.00.1 60.0 関本淳 塩野久五郎 309.0 15 90.11.26 曇 重 9 ローレルエルワン 牡4 1800 2.02.0 57.0 海方栄二 松浦正春 309.0 16 91.11.26 晴 重 10 タカイチフジ 牡4 1800 2.01.3 58.0 前野幸一 渡辺徹夫 400.0 17 92.12.1 曇 重 8 イチコウカラカン 牝4 1800 2.01.9 57.0 前野幸一 佐藤喜代夫 480.0 18 93.11.23 晴 稍重 10 テンシンヤマト 牝4 1800 2.02.1 55.5 小国博行 小國忍 427.0 19 94.12.5 雪 重 9 カウンターアタック 牡4 1800 1.58.8 60.5 荒木孝良 小國忍 432.0 20 95.12.5 晴 重 10 スーパーシュート 牝5 1800 2.00.1 57.0 板垣吉則 香曽我部昇 430.0 21 96.12.5 小雨 不良 11 ウェストウイン 牡4 1800 1.57.5 55.5 長橋秀樹 渋谷竹義 430.0 22 97.11.11 晴 良 12 ビソウウエスタン 牡4 1800 2.00.2 55.5 板垣吉則 吉田英男 400.0 23 98.11.10 曇 稍重 12 ペルターブレーブ 牡4 1800 2.00.2 56.5 冨樫英利 佐藤茂 320.0 24 99.10.10 晴 良 8 マルハチフレンド 牡4 1800 2.00.8 59.0 関本秀幸 横山崇司 290.0 25 00.10.9 曇 稍重 8 アオイリュウセイ 牡4 1800 2.00.0 59.0 前野幸一 秋葉清一 290.0 26 01.11.6 曇 不良 12 ホマレエリート 牝3 1800 1.56.7 56.0 山田延由 柳沼幸男 100.0 27 02.11.3 雨 重 12 レビンマサ 牡3 1800 1.56.7 58.0 板垣吉則 秋葉清一 100.0 03年度 廃止 ※タイム欄の赤文字はレコードタイム。 ※75年に同名のレースがある。 回 年月日_ 天候 馬場 頭数 勝馬馬名_____ 性齢 距離 タイム 重量 騎手____ 調教師___ 賞金_ 75.10.12 曇 重 8 ストロングキリー 牡3 2150 2.23.2 54.0 延時攻 高嶋正吾 200.0 コメント: 全国公営競馬主催者協議会会長賞っていつからなんでしょうか? -- くも (2006-01-17 20 35 10) 第2回ザオーマリーネ号の賞金を知っている方いませんか?-- くも (2006-03-08 21 07 50) 名前 コメント
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『絶剣 蛇の道を往く』-2 作者・ティアラロイド 70 霊界・蛇の道入り口近くの広場*** ユウキ「えーっと、次に対戦する人、いませんかー!?」 その女の子の声は、高く可愛らしい響きだった。 たぶんその娘も、この場にいる他の大勢の死者の霊たちと同じく、 生前は歴戦の勇士だったんだろうけど、外見だけではとてもそうは 思えない明るさと無邪気さがそこにはあったんだ。 周囲からは「お前行けよ」「ヤダ、即死だよ」 「もう死んでるんだから死なねえよ」って声が聞こえて来て、 みんな尻込みしてるみたいだった。 コエンマ「ほら、次はお前が行ったらどうだ?」 煌「コエンマさま!?」 いきなり背後に現れたコエンマさまの姿に、僕はびっくりした。 煌「…そ、そんな急に言われても」 コエンマ「え~い! お前も男なら、うじうじ考えずに 正面から突っ込まんか! さ、行った行った!」 煌「わっ!?」 コエンマさまにどすん!と背中を押された僕は、 危うく転びそうになるところを、なんとか体勢を立て直して 顔を上げたところで、その"絶剣"の二つ名を持つ女の子と 眼が合ってしまったんだ。 ユウキ「あ、お兄さん、やる?」 煌「え、えーと、じゃあ…お願いします」 観念した僕は彼女の相手をすることにした。 強面のダークノイドじゃなくて、女の子が相手だったから 調子も狂ってたし、正直油断してたよ。でも実際に手合わせをして、 すぐにその先入観も吹き飛ぶことになった…。 僕は額にエターナルストーンをかざして、 戦士リュートの白銀の甲冑に身を包んだ。 戦士煌「あっ…!」 ここで今になって思い出したんだけど、 リュートの斧「天空」は生前の世界に置いてきちゃったから、 その時の僕は何も武器は持っていなかったんだ。 戦士煌「ど、どうしよう…!」 コエンマ「素手で戦う訳にもいかんだろ。ジョルジュよ」 ジョルジュ「煌さん、これをお使いください」 戦士煌「あ、ありがとうございます!」 コエンマさまとジョルジュさんが、 困っている僕に一振りのバトルアックスを貸してくれた。 受け取った僕は、それを何回か大きく振って 自分の腕に軽く慣らす。 戦士煌「お待たせしました」 ユウキ「おっけー! ルールはありありでいいよ。 魔法も必殺技もアイテムもバンバン使って構わないよ。 ボクは"これ"だけだけどね」 「ボク」という一人称が似合う元気そうな女の子は、 無邪気な自信を見せつけながら、左手で剣の柄を軽く叩く。 期間が短かったとはいえ、僕にも生前は桃矢くんたちと一緒に ダークノイドの侵略と戦ってきたという自負もプライドもあったから、 そんな"絶剣"の態度に、僕の戦士としての自尊心はいたく刺激されたよ。 71 "絶剣"は長剣を中段に構え、自然な半身の姿勢を取る。 対する僕もバトルアックスを垂直に構える。 周囲の観客も自然と息を呑み静かになる。 コエンマ「それでは、始めッ!!」 コエンマさまの試合開始の合図と同時に、僕は全力で地を蹴った 長距離を瞬時に駆け抜け、"絶剣"の身体めがけて突き崩しにかかる。 "絶剣"は僕の思惑通り、身体を右に振って最初の一撃目と二撃目を避けた。 その動きが止まったところに、僕の三撃目の斬撃が振り下ろされるはずだった。 だけどその直前、"絶剣"の右手が煙るように動いた。 僕のバトルアックスの刃に小さな火花が弾け、斬撃の軌道が微妙にズレた。 戦士煌「――!!」 僕のバトルアックスの刃は、"絶剣"の鎧を僅かに掠めて宙に舞った。 ユウキ「―――ッ!!」 まるで雷みたいな速さと衝撃の剣速が、 僕の首元めがけて跳ね上がって来た。 鋭い戦慄が僕の全身を駆け抜けた。 僕は大きく右に回避して間一髪で攻撃を回避する。 "絶剣"はまだまだ余裕の表情だ。 そんな激しい切り合いが数分は続いた。 右斜め上段から、"絶剣"の黒曜石の剣が轟然と襲いかかって来た。 僕のバトルアックスが左からの切り払いで受ける。 金属音と共に凄い衝撃が、斧を握る僕の両手に伝わった。 撥ね戻された剣を、"絶剣"は猛烈なスピードで切り返して 次々と僕めがけて打ち込んでくる。 戦士煌「このままやられるものかァァーッ!!」 "絶剣"の剣技は、どれもとてつもない威力、スピードで、 そして何よりも奇麗だった。一度大きく引き戻された"絶剣"の剣が、 僕の心臓にぴたりと照準した。 ―― 十一連撃。 巨大な閃光と衝撃音が周囲に放射する。 戦士煌「――!?」 唖然として両眼を見開く僕の前で、"絶剣"は武器を下ろした。 その時ようやく僕は自身に何が起こったのかを理解したんだ。 戦士煌「参りました」 僕は変身を解除した。不思議と悔しくはなかったけど、 でもやっぱりショックではあったかな…。 "絶剣"は何を思ったのか、すたすたと僕に近づいて来た。 左手で僕の肩をポンと叩き、にっこりと輝くような笑みを浮かべる。 ユウキ「そんなに落ち込まないでよ、お兄さん」 煌「君、本当に強いんだね。僕は地球という星の日本という国から来た 金剛煌と言います。よろしく」 これほどの強さの剣士ならば、さぞ出身の世界では名のある戦士だったに 違いないと思ったんだけど、"絶剣"は僕の自己紹介を聞いて、最初に不思議そうに きょとんとした表情をしていたけど、その後すぐにクスクスッと笑いだしたんだ。 72 煌「あ、あのー、僕…何か変なこと言ったかなぁ…?」 ユウキ「(^∇^)アハハハハ!…ゴメンゴメン! ボクも地球人で日本人だからさ。 その自己紹介の仕方ってなんだか可笑しくって… 」 煌「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!…だって、キミのその尖った耳とか 背中の羽根とか……。あっ、もしかして改造人間!?」 ユウキ「違う違う。これはね、神様に頼んで特別に アバターの方を基本の姿にしてもらったんだよ」 煌「アバター…??」 "絶剣"の話によると、彼女の今の姿は本来の現実空間(リアル)での 生まれ持った肉体の姿ではなく、VRMMORPGにおけるアバター(分身)として の姿であるとの事だった。てっきり僕は"絶剣"のことを、その見た目から どこかの異世界の妖精族か何かだと思い込んでいたんだ。 煌「でもVRMMORPGって、以前に大勢のプレイヤーがゲームの世界から 出られなくなったって確か大きな事件になったんじゃ…」 ユウキ「それはソードアート・オンライン(SAO)のことでしょ? ボクはアルヴヘイム・オンライン(ALO)にいたんだ。知らないの?」 煌「ごめん。僕はあんまりゲームとかはやらなかったから…」 ユウキ「そうなんだ。改めまして、ボクは紺野木綿季と言います。 ユウキでいいよ♪」 煌「よろしく、ユウキちゃん」 僕とユウキは固い握手を交わした。 ◇ ◇ ◇ エメル「それで、ちなみにそのユウキちゃんは 何が理由で亡くなったの?」 煌「それは……」 エメルの問いに、煌はどう答えたらよいものか戸惑う。 いかに死者の霊とはいえ、個人のプライバシーにも関わる事柄なので、 果たして口外してよいものかどうか暫しためらったが、この部分に触れるのを 避けては話を先に進められないため、重たい口を開く…。 煌「ユウキはね、後天性免疫不全症候群―AIDS(エイズ)だったんだよ…」 クレイト「ねえビークウッド、エイズってなあに?」 クレイトは、すぐ隣に座っているビークウッドに質問を口にする。 ビークウッド「アースサイドにあるウィルス性の難病の一種です。 感染経路にさえ注意し、仮に万一感染してしまっても発症前に 早期発見すれば、決して恐ろしい病気ではないのですが…」 クレイト「煌、話を続けて」 煌「うん」 ◇ ◇ ◇ 煌「それで、ユウキちゃんは生前に現世でどんな巨大な悪と戦って 地球の危機を救ったの?」 ユウキ「えーっ!? ボクはそんな大それたことはしてないよぉ!!」 ユウキの話では、別に力尽くで悪者成敗をしたとかではなく、 生前での自ら被験者となって医療用メディキュボイドの研究に 大きく寄与したなどの様々な点が閻魔大王に高く評価されらしい。 本来なら天国で先に待っていた家族と一緒に静かに暮らせるはずなのに、 ましてや彼女は僕や桃矢くんのように戦乱の渦中に身を置いていた訳でもないのに、 なんでわざわざ危険な蛇の道の試練に挑むのか、僕はユウキに尋ねてみた。 ユウキ「もっといろんな場所をこの目で見てみたいんだ」 煌「いろんな場所…?」 ユウキ「ボクはね、死ぬ前の事だけど、たくさんの仲間や友達のおかげで 仮想世界も現実世界もたくさんの場所を飛び回る事ができたんだ」 煌「でも君は現実世界では…」 生前のユウキは、病気が発症してからはずっと長い年月を 病室の中で医療用ナーヴギアに接続されて暮らしていたはずだった。 だけど……。 ユウキ「ボクが現実世界でいろいろなところを見て回って、 いろんな楽しい体験ができたのはアスナのおかげなんだよ」 煌「アスナ…?」 その「アスナ」さんという人は、きっと生前でのユウキの大切な親友であり、 また恩人だったのだろうと僕は直感した。だからそれ以上詳しくは聞かなかった。 ユウキ「だからアスナや、昔ボクがいたギルドの仲間たちの思いに 応えるためにも、ボクはまだ行ってない場所、まだ見ていない場所に もっともっと直接足を運んでみたいんだ。天国にいる両親や姉ちゃんにも この話をしたら、みんなボクの背中を押してくれたよ!」 ユウキの瞳は、とても死者の魂とは思えぬほど 活き活きと輝いていた。僕にはそんな彼女の姿が とても眩しく覚えた。 73 コエンマ「ちょうどいい。お前ら二人でペアを組め」 コエンマさまの鶴の一声に、僕はたじろいだ。 煌「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!…で、でもぉ、 女の子と二人きりでペアだなんて…(///)」 コエンマ「何を赤くなって恥ずかしがっとるんだ、お前は?」 コエンマさまは、ジト目で僕を見つめる。 ユウキ「ボクは別に構わないよ」 煌「せめてもう少し考える時間を…」 コエンマ「え~い! こっちは後がつかえておるんだ! 男ならさっさと決断せい!!」 煌「は、はい…! よろしくお願いします!」 ユウキ「へへっ、よろしくね煌ちゃん♪」 煌「こ、こちらこそよろしく…(汗」 こうして僕はユウキとペアを組んで、 蛇の道に挑む事になった。 ジョルジュ「お待たせしました。こちらが蛇の道の入り口である 頭の部分になります。正直に言って蛇の道は辛いですよ。 お身体の方はお元気でいらっしゃいますか?」 戦士煌「いやあ…僕、死んでますから あんまり元気じゃないかも…」 ジョルジュ「この蛇の上をひたすら進んでください。 界王さまのところに通じております」 ユウキ「長そうだねえ…」 ユウキはずっと遠い先の向こうを見渡している。 ジョルジュ「およそ百万キロになります」 戦士煌「ひゃ、ひゃくまんキロ…!?」 ユウキ「そ、そんなの辿りついた人なんているの!?」 ジョルジュ「ここ一億年の間では閻魔大王ただお一人だったのですが、 何年か前に孫悟空という人間が踏破に成功して以来、 他にも数十人ほど辿りついた人間がおります」 戦士煌「その孫悟空ってどんな人なんですか?」 ジョルジュ「さあ、私も直接会った事はありませんので、 どんな方なのか詳しくは存じませんが…」 ユウキ「まあ、でも辿りついた人が他にいるんなら、 ボクたちもきっとなんとかなるよ」 ユウキはひょいっと、蛇の道の先端の頭の部分に飛び乗った。 コエンマ「引き返すなら今のうちだぞ?」 ユウキ「ううん、ボクやるよ! もっと強くなりたいからね♪」 戦士煌「コエンマさま、ジョルジュさん、ここまでお見送り どうもありがとうございました」 ジョルジュ「道の両脇に広がる雲には絶対に落ちないようにしてください。 雲の下は地獄ですから二度と戻れませんよ」 戦士煌「わかりました。じゃあ、行ってきます!」 ユウキは背中の羽根を広げて、あっという間に 猛スピードで上空に飛び立つ。 ユウキ「へっへ~ん♪ それじゃあ、おっ先にぃ~!!」 戦士煌「ええーっ!? 待ってよぉ~! ちょっとぉ~!!」 多難な感じのスタートだったけど、 こんな風に僕とユウキの二人旅が始まったんだ。 コエンマ「大丈夫かな、あの二人…(汗」 74 ○金剛煌→ユウキとペアを組み、蛇の道に挑む。(回想) ○ユウキ→金剛煌とペアを組み、蛇の道に挑む。(回想) ○コエンマ→金剛煌とユウキにペアを組ませ、その出発を見送る。(回想) ○ジョルジュ早乙女→金剛煌とユウキに蛇の道での注意事項を説明し、その出発を見送る。(回想)
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『絶剣 蛇の道を往く』-2 作者・ティアラロイド 70 霊界・蛇の道入り口近くの広場*** ユウキ「えーっと、次に対戦する人、いませんかー!?」 その女の子の声は、高く可愛らしい響きだった。 たぶんその娘も、この場にいる他の大勢の死者の霊たちと同じく、 生前は歴戦の勇士だったんだろうけど、外見だけではとてもそうは 思えない明るさと無邪気さがそこにはあったんだ。 周囲からは「お前行けよ」「ヤダ、即死だよ」 「もう死んでるんだから死なねえよ」って声が聞こえて来て、 みんな尻込みしてるみたいだった。 コエンマ「ほら、次はお前が行ったらどうだ?」 煌「コエンマさま!?」 いきなり背後に現れたコエンマさまの姿に、僕はびっくりした。 煌「…そ、そんな急に言われても」 コエンマ「え~い! お前も男なら、うじうじ考えずに 正面から突っ込まんか! さ、行った行った!」 煌「わっ!?」 コエンマさまにどすん!と背中を押された僕は、 危うく転びそうになるところを、なんとか体勢を立て直して 顔を上げたところで、その"絶剣"の二つ名を持つ女の子と 眼が合ってしまったんだ。 ユウキ「あ、お兄さん、やる?」 煌「え、えーと、じゃあ…お願いします」 観念した僕は彼女の相手をすることにした。 強面のダークノイドじゃなくて、女の子が相手だったから 調子も狂ってたし、正直油断してたよ。でも実際に手合わせをして、 すぐにその先入観も吹き飛ぶことになった…。 僕は額にエターナルストーンをかざして、 戦士リュートの白銀の甲冑に身を包んだ。 戦士煌「あっ…!」 ここで今になって思い出したんだけど、 リュートの斧「天空」は生前の世界に置いてきちゃったから、 その時の僕は何も武器は持っていなかったんだ。 戦士煌「ど、どうしよう…!」 コエンマ「素手で戦う訳にもいかんだろ。ジョルジュよ」 ジョルジュ「煌さん、これをお使いください」 戦士煌「あ、ありがとうございます!」 コエンマさまとジョルジュさんが、 困っている僕に一振りのバトルアックスを貸してくれた。 受け取った僕は、それを何回か大きく振って 自分の腕に軽く慣らす。 戦士煌「お待たせしました」 ユウキ「おっけー! ルールはありありでいいよ。 魔法も必殺技もアイテムもバンバン使って構わないよ。 ボクは"これ"だけだけどね」 「ボク」という一人称が似合う元気そうな女の子は、 無邪気な自信を見せつけながら、左手で剣の柄を軽く叩く。 期間が短かったとはいえ、僕にも生前は桃矢くんたちと一緒に ダークノイドの侵略と戦ってきたという自負もプライドもあったから、 そんな"絶剣"の態度に、僕の戦士としての自尊心はいたく刺激されたよ。 71 "絶剣"は長剣を中段に構え、自然な半身の姿勢を取る。 対する僕もバトルアックスを垂直に構える。 周囲の観客も自然と息を呑み静かになる。 コエンマ「それでは、始めッ!!」 コエンマさまの試合開始の合図と同時に、僕は全力で地を蹴った 長距離を瞬時に駆け抜け、"絶剣"の身体めがけて突き崩しにかかる。 "絶剣"は僕の思惑通り、身体を右に振って最初の一撃目と二撃目を避けた。 その動きが止まったところに、僕の三撃目の斬撃が振り下ろされるはずだった。 だけどその直前、"絶剣"の右手が煙るように動いた。 僕のバトルアックスの刃に小さな火花が弾け、斬撃の軌道が微妙にズレた。 戦士煌「――!!」 僕のバトルアックスの刃は、"絶剣"の鎧を僅かに掠めて宙に舞った。 ユウキ「―――ッ!!」 まるで雷みたいな速さと衝撃の剣速が、 僕の首元めがけて跳ね上がって来た。 鋭い戦慄が僕の全身を駆け抜けた。 僕は大きく右に回避して間一髪で攻撃を回避する。 "絶剣"はまだまだ余裕の表情だ。 そんな激しい切り合いが数分は続いた。 右斜め上段から、"絶剣"の黒曜石の剣が轟然と襲いかかって来た。 僕のバトルアックスが左からの切り払いで受ける。 金属音と共に凄い衝撃が、斧を握る僕の両手に伝わった。 撥ね戻された剣を、"絶剣"は猛烈なスピードで切り返して 次々と僕めがけて打ち込んでくる。 戦士煌「このままやられるものかァァーッ!!」 "絶剣"の剣技は、どれもとてつもない威力、スピードで、 そして何よりも奇麗だった。一度大きく引き戻された"絶剣"の剣が、 僕の心臓にぴたりと照準した。 ―― 十一連撃。 巨大な閃光と衝撃音が周囲に放射する。 戦士煌「――!?」 唖然として両眼を見開く僕の前で、"絶剣"は武器を下ろした。 その時ようやく僕は自身に何が起こったのかを理解したんだ。 戦士煌「参りました」 僕は変身を解除した。不思議と悔しくはなかったけど、 でもやっぱりショックではあったかな…。 "絶剣"は何を思ったのか、すたすたと僕に近づいて来た。 左手で僕の肩をポンと叩き、にっこりと輝くような笑みを浮かべる。 ユウキ「そんなに落ち込まないでよ、お兄さん」 煌「君、本当に強いんだね。僕は地球という星の日本という国から来た 金剛煌と言います。よろしく」 これほどの強さの剣士ならば、さぞ出身の世界では名のある戦士だったに 違いないと思ったんだけど、"絶剣"は僕の自己紹介を聞いて、最初に不思議そうに きょとんとした表情をしていたけど、その後すぐにクスクスッと笑いだしたんだ。 72 煌「あ、あのー、僕…何か変なこと言ったかなぁ…?」 ユウキ「(^∇^)アハハハハ!…ゴメンゴメン! ボクも地球人で日本人だからさ。 その自己紹介の仕方ってなんだか可笑しくって… 」 煌「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!…だって、キミのその尖った耳とか 背中の羽根とか……。あっ、もしかして改造人間!?」 ユウキ「違う違う。これはね、神様に頼んで特別に アバターの方を基本の姿にしてもらったんだよ」 煌「アバター…??」 "絶剣"の話によると、彼女の今の姿は本来の現実空間(リアル)での 生まれ持った肉体の姿ではなく、VRMMORPGにおけるアバター(分身)として の姿であるとの事だった。てっきり僕は"絶剣"のことを、その見た目から どこかの異世界の妖精族か何かだと思い込んでいたんだ。 煌「でもVRMMORPGって、以前に大勢のプレイヤーがゲームの世界から 出られなくなったって確か大きな事件になったんじゃ…」 ユウキ「それはソードアート・オンライン(SAO)のことでしょ? ボクはアルヴヘイム・オンライン(ALO)にいたんだ。知らないの?」 煌「ごめん。僕はあんまりゲームとかはやらなかったから…」 ユウキ「そうなんだ。改めまして、ボクは紺野木綿季と言います。 ユウキでいいよ♪」 煌「よろしく、ユウキちゃん」 僕とユウキは固い握手を交わした。 ◇ ◇ ◇ エメル「それで、ちなみにそのユウキちゃんは 何が理由で亡くなったの?」 煌「それは……」 エメルの問いに、煌はどう答えたらよいものか戸惑う。 いかに死者の霊とはいえ、個人のプライバシーにも関わる事柄なので、 果たして口外してよいものかどうか暫しためらったが、この部分に触れるのを 避けては話を先に進められないため、重たい口を開く…。 煌「ユウキはね、後天性免疫不全症候群―AIDS(エイズ)だったんだよ…」 クレイト「ねえビークウッド、エイズってなあに?」 クレイトは、すぐ隣に座っているビークウッドに質問を口にする。 ビークウッド「アースサイドにあるウィルス性の難病の一種です。 感染経路にさえ注意し、仮に万一感染してしまっても発症前に 早期発見すれば、決して恐ろしい病気ではないのですが…」 クレイト「煌、話を続けて」 煌「うん」 ◇ ◇ ◇ 煌「それで、ユウキちゃんは生前に現世でどんな巨大な悪と戦って 地球の危機を救ったの?」 ユウキ「えーっ!? ボクはそんな大それたことはしてないよぉ!!」 ユウキの話では、別に力尽くで悪者成敗をしたとかではなく、 生前での自ら被験者となって医療用メディキュボイドの研究に 大きく寄与したなどの様々な点が閻魔大王に高く評価されらしい。 本来なら天国で先に待っていた家族と一緒に静かに暮らせるはずなのに、 ましてや彼女は僕や桃矢くんのように戦乱の渦中に身を置いていた訳でもないのに、 なんでわざわざ危険な蛇の道の試練に挑むのか、僕はユウキに尋ねてみた。 ユウキ「もっといろんな場所をこの目で見てみたいんだ」 煌「いろんな場所…?」 ユウキ「ボクはね、死ぬ前の事だけど、たくさんの仲間や友達のおかげで 仮想世界も現実世界もたくさんの場所を飛び回る事ができたんだ」 煌「でも君は現実世界では…」 生前のユウキは、病気が発症してからはずっと長い年月を 病室の中で医療用ナーヴギアに接続されて暮らしていたはずだった。 だけど……。 ユウキ「ボクが現実世界でいろいろなところを見て回って、 いろんな楽しい体験ができたのはアスナのおかげなんだよ」 煌「アスナ…?」 その「アスナ」さんという人は、きっと生前でのユウキの大切な親友であり、 また恩人だったのだろうと僕は直感した。だからそれ以上詳しくは聞かなかった。 ユウキ「だからアスナや、昔ボクがいたギルドの仲間たちの思いに 応えるためにも、ボクはまだ行ってない場所、まだ見ていない場所に もっともっと直接足を運んでみたいんだ。天国にいる両親や姉ちゃんにも この話をしたら、みんなボクの背中を押してくれたよ!」 ユウキの瞳は、とても死者の魂とは思えぬほど 活き活きと輝いていた。僕にはそんな彼女の姿が とても眩しく覚えた。 73 コエンマ「ちょうどいい。お前ら二人でペアを組め」 コエンマさまの鶴の一声に、僕はたじろいだ。 煌「エ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ッ!!…で、でもぉ、 女の子と二人きりでペアだなんて…(///)」 コエンマ「何を赤くなって恥ずかしがっとるんだ、お前は?」 コエンマさまは、ジト目で僕を見つめる。 ユウキ「ボクは別に構わないよ」 煌「せめてもう少し考える時間を…」 コエンマ「え~い! こっちは後がつかえておるんだ! 男ならさっさと決断せい!!」 煌「は、はい…! よろしくお願いします!」 ユウキ「へへっ、よろしくね煌ちゃん♪」 煌「こ、こちらこそよろしく…(汗」 こうして僕はユウキとペアを組んで、 蛇の道に挑む事になった。 ジョルジュ「お待たせしました。こちらが蛇の道の入り口である 頭の部分になります。正直に言って蛇の道は辛いですよ。 お身体の方はお元気でいらっしゃいますか?」 戦士煌「いやあ…僕、死んでますから あんまり元気じゃないかも…」 ジョルジュ「この蛇の上をひたすら進んでください。 界王さまのところに通じております」 ユウキ「長そうだねえ…」 ユウキはずっと遠い先の向こうを見渡している。 ジョルジュ「およそ百万キロになります」 戦士煌「ひゃ、ひゃくまんキロ…!?」 ユウキ「そ、そんなの辿りついた人なんているの!?」 ジョルジュ「ここ一億年の間では閻魔大王ただお一人だったのですが、 何年か前に孫悟空という人間が踏破に成功して以来、 他にも数十人ほど辿りついた人間がおります」 戦士煌「その孫悟空ってどんな人なんですか?」 ジョルジュ「さあ、私も直接会った事はありませんので、 どんな方なのか詳しくは存じませんが…」 ユウキ「まあ、でも辿りついた人が他にいるんなら、 ボクたちもきっとなんとかなるよ」 ユウキはひょいっと、蛇の道の先端の頭の部分に飛び乗った。 コエンマ「引き返すなら今のうちだぞ?」 ユウキ「ううん、ボクやるよ! もっと強くなりたいからね♪」 戦士煌「コエンマさま、ジョルジュさん、ここまでお見送り どうもありがとうございました」 ジョルジュ「道の両脇に広がる雲には絶対に落ちないようにしてください。 雲の下は地獄ですから二度と戻れませんよ」 戦士煌「わかりました。じゃあ、行ってきます!」 ユウキは背中の羽根を広げて、あっという間に 猛スピードで上空に飛び立つ。 ユウキ「へっへ~ん♪ それじゃあ、おっ先にぃ~!!」 戦士煌「ええーっ!? 待ってよぉ~! ちょっとぉ~!!」 多難な感じのスタートだったけど、 こんな風に僕とユウキの二人旅が始まったんだ。 コエンマ「大丈夫かな、あの二人…(汗」 74 ○金剛煌→ユウキとペアを組み、蛇の道に挑む。(回想) ○ユウキ→金剛煌とペアを組み、蛇の道に挑む。(回想) ○コエンマ→金剛煌とユウキにペアを組ませ、その出発を見送る。(回想) ○ジョルジュ早乙女→金剛煌とユウキに蛇の道での注意事項を説明し、その出発を見送る。(回想)
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必要、というか需要、というか… リレー小説の設定がごっちゃごっちゃになってきた気がするから、なんかまとめてみた。 +キャラクター 梶岡 ユウキ 本編主人公。 日本大手時計メーカー、ミムラクロック社(愛称MC時計、エムシー)、の社長の息子。 性格はマジで特筆する事が無い。今後キーワードとなる言葉を誰かが書いてくれると期待してみたりする(もしかしてクール? むっつり?) 父親が交通事故に会って以来、人の胸の部分に 時計 が見えるようになる。本人はそれを鬱陶しく思っている様子。 彩菜に弱みを握られ、言う事は何でも聞かないといけない状態に。 新聞に自信の書いた小説が連載されている。即興狂歌を作る事が得意。 朝に弱い。 彩菜のユウキの呼び方が「ユウ君」と「ユウキ君」の二つあるんだが、この際「ユウ君」に統一しちまおうぜ。 彩菜、霜月-「ユウ君」 瑞乃-「カジキ」 一-「ヒロキ」 小日向 彩菜 どっかの麻薬さんのせいで豹変したメインヒロイン。 「俺の幼馴染で、小学校、中学校、そして今のこの高校までずっと同じ学校だった。高校2年生とは思えないほどのしっかり者で、当然生徒会長、成績も学年トップは当たり前、そのうえスタイルいいし顔もいいしといったパーフェクトな女の子―――つまり、小説で書いた七星神奈と同じだ。 ただ…人見知りではなく、人懐っこく誰からも好かれるタイプである。 特に、俺とは幼馴染ということもあり結構仲がよいと周りは言っている」 (1ページ目3人目(鍵氏)の文章から転載) どうやら、ユウキが好き。っつか、言っちゃった。 本人曰く、 決定者 らしい。 決定者 、 具現者 の設定は後々決まるんじゃない? ユウキ-「彩菜」 霜月-「彩ちゃん」 瑞乃-「みずっち」 一-「小日向」 霜月 梶岡家に仕えるメイド。ところで、梶岡家に仕えているメイドって霜月オンリー? 非常に癖がある性格をしている。主人であるユウキには敬意を示さないし、彩菜とは無駄に息が合う。 なにか特殊な能力を秘めている模様? よくわかんないけど。 ユウキ-「霜月」 彩菜-「霜月さん」 宮ヶ崎 瑞乃 死にました(ぇ 復活するか否かは今後の展開次第。だからリレー小説は面白い。 元ユウキの恋人。明るい女の子。以上(ぇ ユウキ、彩菜-「瑞乃」 幾嶋 一 悪友。以上(ぉぃ ユウキ-「一」 +用語 時計 ユウキと彩菜が人の胸の位置に見えている物。っつか、時計。 予定(未来)が実行される時間を知ることが出来る。何の予定かは分からない。 その時計の表示者にとって、その出来事がどういう感情をもたらすか、ということも把握可能。 の二つが明示されているけど、他はあいまい。 決定者 ノーデーター 具現者 ノーデータ